2018年11月18日日曜日

【社会学】 アニメ聖地巡礼の観光社会学 [岡本健氏]

[著書名] アニメ聖地巡礼の観光社会学
 
[著者] 岡本健氏

[おすすめ度] ★★ 

[読みやすさ] ★★

[知識習得] ★★★

[ひとこと]


書評の読者を本が好きな普通の人とすると、初めに注意点としてこの本は「論文」であります。切り口にセンスを感じて軽い気持ちで手を出しましたが、これは准教授の博士論文を書籍にした税込み3000円以上する代物でした。笑

幸い文章も論文にしては読みやすくテーマも面白かったので頑張れましたが皆様はそれを踏まえてご検討下さい。


さて、本書は社会の諸問題、主にコミュニケーションやアイデンティティの変化によって生じた問題、再帰的近代化によって生じた両義的な他社との出会いに関する問題、公共性の問題、の3つに対して、観光が解決策を生み出せるか、その場合はどのような手段かを研究しています。

本書の構成は論文らしく問題の定義や分析手法などもきちんとしていて学生には勉強になるはずです。

その一見堅苦しい構造ですが、テーマは非常に身近であり、アニメはらき☆すたやけいおん、大河ドラマなり戦国無双などのゲーム、SNSも当然対象としながら、この「聖地巡礼」を分析しています。アニメやコミュニティなどは徹底して調査されており、オタクを可視化、体系化している点は面白味すら感じました。

また、例えば「インティメイト・ストレンジャー」という、他人と同じ匿名性を持ちながら、顔見知りよりも親密性が高い現代社会を象徴する区分など、社会学の知識も同時に習得できます。


本書から得た概念の中でも「聖地に関するデータベース」は非常に興味深く、巡礼者側と提供側の双方がデータベースを拡張させていき、さらにグッズやイベントなど経済圏も広がっていく仕組みは頭が整理されました。

そして、主題である他者性と社会問題についても、人が居場所を見つけ、価値観を共有し、他者と交流を深めていくことを可能にするのは、観光というきっかけが島宇宙的なコミュニティを作り出す構造にあり、これはアニメに留まらないことも分かりました。

一部の方々が本能的にも求め、それ故偏見を持ちがちな「聖地巡礼」について、本書は非常にプラスの側面で再定義されたと思います。




※詳細は画像より


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著者:ひさなお

 TOEIC満点、作家、投資家、IT企業グローバル人事、馬券師。
 慶應義塾大学→UCLA→大手IT企業。

  第3回マイナビ作品コンテスト最優秀賞受賞。 

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2018年10月20日土曜日

【エッセー】 この世でいちばん大事な「カネ」の話 [西原理恵子氏]

[著書名] この世でいちばん大事な「カネ」の話
 
[著者] 西原理恵子氏

[おすすめ度] ★★ 

[読みやすさ] ★★

[知識習得] ★

[ひとこと]


なるほどそう来たかと。

読み始めてすぐに、確かに人気作になっただけはある「新しい」カネのお話だと気付きました。

本書は漫画家の著者の生涯をカネを軸になぞるエッセーです。マネー本の類では全然ありませんのでご注意を。


著者は本当に貧しい田舎で育ちます。ここまでならどこにでもありふれた貧乏トークなのですが、著者は少し抜きん出ていて、まあ暴力なり死なりが生々しく書かれています。さすが漫画家の読ませる力ではありましたが、正直読むの辞めるかなと思ったほど最初の章はエグい。

伝えたいこと以上にどこかこの本でつらい過去を浄化させたいような、そんな著者の気持ちがあるのではと個人的には感じるくらい。


ただ、その後はリズムよくどんどん読み進めることができます。著者の貧乏学生から漫画家として飯が食えるまで、そこからギャンブル依存に陥り転落し、それでも今があるという成功?物語。

彼女のカネや人生に対する言葉は彼女にしか響かせられないと思います。小手先のマネーテクニックなんかを調べるくらいなら、彼女の生き方から何かを学んだ方がよほどあなたの大事なカネを守ってくれるのではないでしょうか。




※詳細は画像より


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2018年8月20日月曜日

【生物】 カワハタ先生の動物の不思議 どこがおなじでどこがちがうの? [川幡智佳氏]

[著書名]  カワハタ先生の動物の不思議 どこがおなじでどこがちがうの?
 
[著者] 川幡智佳氏

[おすすめ度] ★★ 

[読みやすさ] ★★

[知識習得] ★★★

[ひとこと]


動物の説明がずらりと並んだ子供の頃に読んだ動物図鑑とは異なり、テーマごとに動物やその仕組みが解説されている大人のための動物図鑑でした。

海、陸、人と大きく3つの世界に分類し、ザリガニはカニかエビか?、サンゴは植物か動物か?、などなるほど気になるテーマから、青い血の生き物、心臓が無い生き物、などマニアックな話まで分かりやすく全面カラーで説明しています。


私はビジネスや科学、小説から漫画まで相当に何でも読むタイプですが、生物は大人になってからはあまりインプットしてこなかったので(ミトコンドリアとか時々はまりましたが笑)、この一冊は20年以上前に戻ったような気持ちになりました。


(余計なお世話ですが) 難しいのは読者のターゲットかと。

個人的には子供が無意識のうちから部屋に置いておきたい一冊ですが、最初の図鑑には少し難しいかと。前提知識があった方が楽しめると思います。共生なり「生きている化石」の話とかは面白かったですが、子供がピンと来るかは微妙。

一方、悲しいかなマスの大人をターゲットにするならこの王道の図鑑タイプではなく、もっと意外性のある切り口から面白おかしく生物を「ネタ」にする必要があるかもしれません。まあ、純粋に楽しめた私には関係ないですけれど。笑


読んだ後は動物園や水族館に行きたくなりますし、本にもあった通り「磯」には本当に行ってみようと思いました。

誰にでもお勧めするタイプの本ではない気がしますが、私にはほぼ知らないこと、忘れていたことばかりでしたので、例えば子供と一緒に動物を学び直してみる方などには面白いかもしれません。



※詳細は画像より


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2018年8月7日火曜日

【科学】 世界を変えた50人の女性科学者たち [レイチェル・イグノトフスキー氏]

現在はYouTubeにおります!

[著書名]  世界を変えた50人の女性科学者たち

 
[著者] レイチェル・イグノトフスキー氏

[おすすめ度] ★★ 

[読みやすさ] ★★

[知識習得] ★★★

[ひとこと]


贈り物にしたくなる素敵な一冊です。女性男性関わらず。

世界19か国で翻訳された本書はカラフルな図鑑サイズの本で、50人の女性科学者を見開き1ページずつで紹介し、更に何十人もの女性科学者をコラムのように紹介してくれます。

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そもそも、女性科学者と聞いて皆様は誰を思い浮かべるでしょうか?

この書評ブログでも散々記事を書いてきたように私は科学本が好きなのですが、それでも女性と言われるとノーベル化学賞を受賞したキュリー夫人くらいでした。ほとんどの方は「男だって知らないよ」となると思います。


そんな中、本書には医学から天文学、数学、工学に、科学、化学、プログラミング言語の発明まで、いや宇宙から火山まで、古代から現代まで歴史の影に隠れた(本当に)偉大な女性たちが紹介されています。

見開きで紹介される彼女たちの人生からは、バックグラウンド知識がないと難しいほど専門的な内容から、男女関係なく胸が熱くなる生き方まで書かれています。科学の勉強をしたい方から「なんだか力が欲しい」方まで誰にでも活きる一冊ではないでしょうか。

一人につき一つ彼女たちの名言があるのですが、鋭くユーモアもあり、彼女たちのような求道者だからこそ生み出される金言が詰まっています。


図鑑サイズでカバーも無く、必然的にカフェなどでじっくり座って読む必要があり、だからこそ記憶に残る特別な本になると思います。




※詳細は画像より


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2018年7月16日月曜日

【科学】 データ分析の力 因果関係に迫る思考法 [伊藤公一朗氏]

[著書名]  データ分析の力 因果関係に迫る思考法
 
[著者] 伊藤公一朗氏

[おすすめ度] ★★ 

[読みやすさ] ★★

[知識習得] ★★★

[ひとこと]


猫も杓子もビッグデータだAIだと名乗り続ける昨今、抽象的なAI妄想や既存技術の単なる言い換えではなく、「データ分析とは何か」を非常に分かりやすくかつ専門的に書き込んだ新書で、話題になったのが納得の1冊です。


この数年のビッグデータブームよりはるかに前から「とんでも因果関係」は至るところで使われてきました。宣伝側がバカなのか分かっていてバカを騙そうとしているのか(大半が両方)、ロジックの欠片も無い嘘が世の中に蔓延っております。

そんな中、本書は統計を一切知らないと読み進めるのに苦労するかもしれませんが、データ分析を実務でやるかに関わらず思考として教養として必須の分野だと考えます。


ランダム化比較試験(RCT)をベースとして、その手法や実例、適応できない場合の他の手法やそれぞれのプロコンなど、読み応え抜群の一冊です。Googleやオバマ元大統領の実例など、世界のトップ層がデータに対してどのようにアプローチしているのか学べる点が特に新しいと思います。




※詳細は画像より


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2018年7月7日土曜日

【子育て】 AI時代の子育て戦略 [成毛眞氏]

[著書名] AI時代の子育て戦略
 
[著者] 成毛眞氏

[おすすめ度] ★★ 

[読みやすさ] ★★★★

[知識習得] ★★★

[ひとこと]

私もいよいよこんな本を読むようにな……ったかどうかをブログなんかで書くわけないでしょと。笑


このブログでも何度も紹介してきた著者で、古い本だと本は10冊同時に読め! (知的生きかた文庫) [ 成毛真 ]や、このAI時代シリーズだとAI時代の人生戦略 「STEAM」が最強の武器である (SB新書) [ 成毛 眞 ]などはなかなか好きです。


今回は子育てがテーマですが、子育ての専門家ではないですし直接的な話は3割ほどでした。

それ以上に、遺伝の話や一流のプロになる人間の法則、グローバルにおける日本社会の特徴、AIやロボット工学、ゲームや最新ガジェットなど科学技術の今とこれからについて書かれています。

頭の良い子供を作るには、のようなテクニックが知りたいのならば(あるなら教えてくれ)本書はお勧めしませんが、読者自身にこそ大量のインプットがある安定の一冊だと思います。

「教育の専門家」などと嘯く輩なんかより、「実際に成功した」このような方の考えを聞く方がはるかにプラスなのは言わずもがなで。




※詳細は画像より


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著者:ひさなお

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2018年6月24日日曜日

【歴史】 戦国武将の精神分析 [中野信子氏、本郷和人氏]

[著書名] 戦国武将の精神分析
 
[著者] 中野信子氏、本郷和人氏

[おすすめ度] ★★ 

[読みやすさ] ★★★★

[知識習得] ★★★

[ひとこと]

マニアックなのは承知の上で私には大好物の一冊。


昔の歴史本のように物語に物語を重ねた武将与太話ではありません。

私が好きな歴史学者である本郷氏が15人ほどの武将の生涯や特徴を述べ、脳科学者の中野氏が各武将の「なぜ」を分析する構成。

過大評価や白か黒で決め打ちされやすい戦国武将を一人の人間として科学的に紐解くことで、歴史観に新しいインプットが得られると共に実益ある知識も身に着くかと。


伊達政宗はやるやる詐欺の天性のパフォーマーであったり、サイコパスの信長にソシオパスの松永久秀。異常な性欲なり家族殺しという側面から歴史を深堀していく対話はマニアには堪らないはずです。

------

注意点は、そのマニア向けということ。

つまり定説なり歴史の全体感がないと「何が面白いのか」が分かりにくいと思います。

オキシトシンなり条件付きの愛情なりと犯罪や事件分析に近い点もあり、これが「最初の歴史本」だと歪み過ぎてしまうのでお勧めはしません。笑 



※詳細は画像より


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2018年6月18日月曜日

【エッセー】 KEEP MOVING 限界を作らない生き方 27歳で難病ALSになった僕が挑戦し続ける理由 [武藤将胤氏]

[著書名] KEEP MOVING 限界を作らない生き方 27歳で難病ALSになった僕が挑戦し続ける理由
 
[著者] 武藤将胤氏

[おすすめ度] ★★ 

[読みやすさ] ★★

[知識習得] ★

[ひとこと]


ALS。

スティーブン・ホーキング博士やあの「アイスバケツチャレンジ」で有名になった難病です。

身体中の筋肉が動かなくなり、声を出すことや食事もできなくなり、最後は呼吸もできなくなる。平均寿命3-5年とも言われる病気です。


原因や治療法は未だ不明。

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本書は、その難病に20代の若さでかかりながらも、自ら様々なプロジェクトや事業を立ち上げ、テクノロジーや何より仲間と共にこの難病に挑む著者の生き様が詰まっています。


著者の武藤さんは驚くほど前向きかつ活動的にこの難病に挑み続けており、その姿には感服します。

しかし一方で、本書の随所に書かれる本音や悔しさ、何より家族や妻のインタビューには正直本を持つ手が震えてしまいます。

年齢の変わらない著者をとても評する気にはなれず、私ができることはALSを頭の片隅に置いておくこと、彼を少しでも応援するために数冊ですが本書を買って親しい友人にあげること、そして彼の姿勢を少しでも私自身の挑戦にも活かすことだと思います。

-----

最後に、著者は様々な人に支えられていますが、これはALSになったからではなく、なる前からの仲間が変わらず支え続けているのかなと感じました。

読み終わった後、自分にはそんな真の仲間がいるか、じっくりと考えさせられました。


……片手分くらいはいました。きっと。


ALSとの戦い、祈るという言葉を使うのが大嫌いですので、本書を買って広めて少しでも新しいテクノロジーの開発費に充ててもらえれば幸いです。




※詳細は画像より


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著者:ひさなお

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2018年6月10日日曜日

【経営】 世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?経営における「アート」と「サイエンス」[山口周氏]

[著書名] 世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?経営における「アート」と「サイエンス」
 
[著者] 山口周氏

[おすすめ度] ★★ 

[読みやすさ] ★★

[知識習得] ★

[ひとこと]


グローバルエリートたちはより「アート」に投資し武器としてきている。

これは単に教養としてではなく、論理や理性で出す「コモディティ化する正解」は限界があり、これからは更に直感や感性が差別化になるという理論。


本書は経営を中心に、サイエンスやクラフトだけでなくアートの重要性について、大きくスキル、市場、社会システムの3点から考察しています。

著者は人事領域の超有名コンサル会社の方で、それ故文章に面白さはないものの(笑)読み応え抜群の玄人向けです。

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経営者やトップエリートをメインに書いていますが、サイエンスとアートの両立という崇高な領域までいかなくても、ロジックや数字しか見えない弊害や、計算さえすれば誰でも行きつく正解に価値が無くなることは重要なポイントだと思います。


プロマネやらシステムやらと外国を飛び回って仕事しながら小さな賞を獲る程度には小説家もやってきた私としては、「ほら俺は正しかった」と言いたくもなります。「一体何がやりたいんだ」とか散々言われましたし。笑

まあアートはセンスですので、「アートが重要だ学ばなくては」と随分歳がいってから動くのでは遅いし、地道な積み上げが必要なサイエンス側から逃げるために感覚のみでどうにかしようとするビジネスも当然上手くいかない。


詰まるところ、両方半端な領域を超えないと真のグローバルエリートにはなれないということでしょうか。難易度の高い時代で困りますなあ…。



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2018年6月2日土曜日

【古典】 こころに響く方丈記 鴨長明さんの弾き語り [木村耕一氏]

[著書名] こころに響く方丈記 鴨長明さんの弾き語り
 
[著者] 木村耕一氏

[おすすめ度] ★★ 

[読みやすさ] ★★★★

[知識習得] ★

[ひとこと]


私はこの「こころ」シリーズが大好きで、以前書評を書いたこころ彩る徒然草 兼好さんと、お茶をいっぷく [ 木村耕一 ]に続く本作も楽しみでした。


方丈記と聞くと、一問一答で覚えた「鴨長明」が思い出されますが、実際に鴨長明がどのような人物で、どのような人生を歩み、この方丈記とは何が書かれているのかは何も覚えていませんでした。(そもそも覚えた記憶も教科書にきちんと乗っていた記憶もありません)


本書は、綺麗な写真や可愛いイラストと共に、非常に読みやすい意訳で鴨長明が何を伝えたかったのかが書かれています。
 
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最近は安易に「波乱万丈」などという言葉を使いますが、鴨長明の生涯にこそ当てはまる言葉だと分かりました。

そんな彼が方丈記を通して伝えるのが、人生や時の儚さ、つらさ、不条理さ、切なさ、けれど尊さです。出会いの大切さや、反対に財産を貯め込むことの愚かさなども書かれています。


このシリーズを読むと、自分は何を小さなことにこだわっていたのだと毎回思い知らされます。大げさではなく涙が出そうになります。

本棚の見える位置に置いておき、「時と人の大切さ」を日々思い出していきたいです。




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2018年5月27日日曜日

【ビジネス】 売れる仕組みをどうつくるか トルネード式仮説検証 [永井孝尚氏]

[著書名] 売れる仕組みをどうつくるか トルネード式仮説検証
 
[著者] 永井孝尚氏

[おすすめ度] ★★ 

[読みやすさ] ★★★★

[知識習得] ★★★

[ひとこと]


ベストセラーとなったシリーズ100円のコーラを1000円で売る方法 マーケティングがわかる10の物語 [ 永井孝尚 ]を6年程前に読んでから、著者の本を長年買ってきました。

当時はまだIBMの社員だった著者が独立し人気作家・講師になっていく過程を見るのも読者としては嬉しかったりします。(余計なお世話でしょうが。笑)


さて、本作は「売る」に絞ったマーケティングというより、よりマクロなビジネス創造やプロジェクトを成功させることをテーマに、誰もが知っているPDCAをより実践的にまとめた印象を受けます。

私自身もグローバルプロジェクトのPMOをしてきた経験から納得できる点も多々あり、ビジネス書を読み漁ってきた知識からも本質を突いた「正しい」一冊に思えます。


充実した一冊でもちろん満足なのですが、強いて言うと、事例も著者の別の本に出てきた物が多く、もう少し新しい理論や尖がった話が個人的には読みたかった気もします。

ある意味著者の本を読み込んでいるからの悩みでしょうか。笑



※詳細は画像より


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2018年5月20日日曜日

【講演】 続・僕たちが何者でもなかった頃の話をしよう [池田理代子氏、他4名]

[著書名] 続・僕たちが何者でもなかった頃の話をしよう
 
[著者] 池田理代子氏、他4名

[おすすめ度] ★★ 

[読みやすさ] ★★★★

[知識習得] ★★★

[ひとこと]


一年前にこのブログにも書いた僕たちが何者でもなかった頃の話をしよう【電子書籍】[ 山中伸弥 ] の続編。

前回同様4名の講演と対談が詰まった新書です。

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前回の4人はiPS細胞でノーベル賞を受賞した山中氏、将棋の羽生氏、映画監督の是枝氏などそうそうたる面子で、正直第二弾は知名度的には見劣りします。

が、学生に向けられた講演は読みやすく、対談相手の研究者かつ歌人である永田氏の上手いまとめ方で今回も様々な気付きが含まれています。


特に、「ベルサイユのばら」の著者である池田氏は、漫画家として大成功を収めておきながら「挑戦しないと死ぬときに後悔する」と、なんと47歳から音大に通いその後ソプラノ歌手という第二の人生を歩んでいます。

こんな人がいたのかと驚くと共に、もちろん生存者バイヤスはあるものの歳を取ってからの挑戦に少し勇気がわく話でした。


決断し挑戦すること、失敗に耐えること、そして成功まで努力を続けることなど、「実績の伴う」話が聞ける一冊です。



※詳細は画像より


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